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このページは、2009年度の県高P連地区大会に於ける湘南高校PTA研究発表の内容を紹介しています。

子どもたちが
自分で進むべき道を見つけ、
自分の足で歩んでいく、
そうした環境をつくる上で
私たちは何ができるだろうか。

1.「自立支援」の取り組み

 私たち湘南高校PTA は2001 年度の県高P 連湘南鎌倉地区大会で、「生徒主体の学校『湘南』とPTA活動−子どもたちの自立を目指す課題解決型のとりくみ」という研究発表を行いました。それは、あらたな活動指針を策定し、この指針の観点からそれまでのPTA 活動の内容を見直していく3 年間にわたる取り組みの実践報告でした。このとき定められた活動指針は
子どもたちが、自分で進むべき道を見つけ、自分の足で歩んでいく 、
そうした環境をつくる上で私たちは何ができるだろうか 。
というものです。これは、子どもたちの自立支援に向けて、PTA ができることを常に探究し続けましょうという呼びかけでもありました。

 「自立した人間に育ってもらいたい」という願いは子どもの成長を願う保護者・先生の共通する思いですが、小学校−中学校−高校と子どもと周りの大人とのかかわり方は変化していきます。「自立支援」のあり方も子どもの成長段階に応じて変わってくるはずです。そうしたなかで、湘南高校の生徒にふさわしい自立支援とはどういうものか、私たちの問いはそこにあります。

 「学校紹介」のページでも触れたように、湘南高校は高いレベルでの文武両道を目指す「生徒主体」の学校です。毎日の生活はもちろん、文化祭や体育祭など大きな行事の運営もすべて生徒の手で行います。準備や発表のルール作り、予算の決定、他の活動や近隣との調整、パンフレット等の協賛広告集めから、発表や競技、仮装の内容、練習等、すべて生徒が行います。多くの失敗を繰り返しながら、自分たちで判断し、その結果についても人任せにしない姿勢を身につけ、3 年間たった後はしっかりした「大人」となって卒業していきます。
 そうした高い意識を持って文武の両立を目指す湘南高校の生徒たちの自立をさらに後押しする支援として、私たちが考えた一つのキーワードが「モラルサポート」です。

2.「モラルサポート」とは

 「モラル(moral)」という言葉には「道徳上の」、「倫理的な」という意味のほかに「精神的な」、「心の」という意味があります。「心のつながり」という意味では「社会的」と言ってもいいかもしれません。「有形の」「具体的な」「物質的な」「身体的な」という意味のphysical とか、material などという言葉の対義語です。ですから、「モラルサポート」は「精神的な支援」、「心の支え」と訳すこともできるでしょう。この「モラルサポート」のわかりやすい例をあげてみましょう。
 ある子どもが職員室へ行って先生と話をするときに、友だちに一緒に行ってもらうことがあります。友だちは職員室で一緒に説明してくれるわけでも代わりに話をしてくれるわけでもないけれども、そばにいてくれるだけで安心してうまく先生と話ができる。こういう経験はだれしも持っているでしょう。この友だちがしてくれる支援がモラルサポート。いわば精神的な支援、心のつながりがもたらしてくれる支援です。
 自立に向けた子どもの歩みを妨げることなく、しかし、子どもたちが不安を感じたり、ときに躓いたりしたときには、ただそばに寄り添うことで子どもたちが安心して再び先へ進む力を取り戻すことを可能にする、あるいは「一生懸命にやればどこかで誰かが見ていてくれる」という安心感を子どもたちが持ちながら活動できる、そんな支援こそが湘南高校の生徒に対する自立支援を考える鍵になるのではないか、と私たちは考えました。

3.モラルサポートを具体化する三本の柱

 湘南高校のPTA 活動は右図のような形で行われています。こうした各委員会、係での活動は子どもたちの自立支援を目的に日々行われているものですが、私たちは今回これらの活動を「モラルサポート」というキーワードをもとに、生徒、保護者、先生という三者のかかわりに即して、
(1) 子どもたちへの支援(生徒−保護者
(2) 先生と保護者との連携・相互信頼による堅固なサポート環境の形成(先生
−保護者
(3) 保護者同士の連携による環境づくりと保護者自身の成長(保護者
−保護者
という三つの側面から見直してみました。(1)は、子どもたちのそばにどう寄り添い、子どもたちに「思い切りやりなさい」、「応援しているよ」というメッセージをいかに伝えるかということです。(2)(3)で求められるのは、子どもたちを支援する大人たちの連携・相互理解をどう進めるかということです。(2)のためには、先生と保護者がそれぞれの教育の方針、そこに込められた思いを相互に理解し、一体となった支援をするために何ができるかを考える必要があります。また、(3)については、「傍にいることで安心感を与えることができる」保護者になるために私たち自身もまた成長することが必要です。そうした保護者自身の成長を支援する機会を作ることが必要ですし、そしてなにより、よりよい自立支援の方法を探るために保護者同士が連携しなければなりません。
 この三つの側面をPTA が果たすべき課題として整理すれば、
(a) 保護者が子どもの支えとなれる力をいかにつけるか
(b) 子どもたちを支援する環境をどう整えるか
(c) 自立を望む保護者の気持ちを子どもにどう伝えるか
ということになるでしょう。
 今回の研究発表は、これまで行われてきた湘南高校PTA の活動をこうした観点から再検証するものです。検証を通じて、不十分なところ、適切でないところがあれば今後に向けて活動の見直しをしていきたいと思います。
 この研究発表を次へのステップの足掛かりとしたいと考えています。

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